塩田恵のヘンプストーリー 2019-12-18T18:18:32+09:00

開発者・塩田恵のヘンプストーリー

ヘンプ(麻)に恋して20年
プロフィール

塩田 恵  Megumi Shioda

  • 株式会社シャンブル代表取締役 
  • 植物美容家
  • フィトセラピスト
  • アロマビューティーコンサルタント
  • フィトビューティー講師

山野美容専門学校を卒業後、ヘアメイクサロンに勤務。1995年、「麻(ヘンプ)」という植物との出会いをきっかけに、アロマセラピーやハーブ(薬草)を活用した植物療法(フィトセラピー)を本格的に学ぶ。

1995年よりヘンプに携わるようになり、20年近くヘンプの研究・開発をしているヘンプマイスターである。

2007年、株式会社CHANVRE(シャンブル)を設立。日本で初めて麻(ヘンプ)コスメを開発した第一人者。

肌に優しい天然素材を活用し、美肌へ導く美容法を推奨している美容家でもある。

自身でオーガニック&ナチュラルコスメをプロデュースするかたわら、ヘンプをテーマにしたセミナーをはじめ、植物オイルを活用した美容法、「内外オイル美容」などのセミナーを各地で開催し、講演活動やビューティーイベントなども主催している。

著書 「ヘンプ・ビューティーをはじめよう」(BABジャパン出版)

ヘンプ(麻)との出会い

美容師をしていた20代、ひどく体を壊し美と健康を同時に失ってしまった体験があります。もともと肌の弱かった私は、パーマ液やカラー剤といった強い薬品で、皮膚は常に荒れていて、いつも体に不調を抱えていました。そして、最後にはドクターストップがかかり、強制的に入院。ひとり病院のベッドで「やっと憧れの美容師になれたのに、これからどうすればいいの?」。健康を失い、美を失い、仕事さえも失って絶望していました。そんな時ふと、「退院したら、1人で海外を旅しよう!」そんな想いが湧き上がり、退院するとすぐにバックパックを背負ってタイ王国に旅立ちます。

これがきっかけで世界を旅するようになった私は、タイ、インド、ネパール、カンボジアなどのアジア各国をはじめ、カナダ、アメリカやオーストラリア、オランダなどのヨーロッパ諸国を旅し、訪れた国々でさまざまな「ヘンプたち」に出会います。特に、ヘンプ産業の発達している先進国では、洋服やバッグなどの小物、食品、ソープ、シャンプーなどの日用雑貨など、さまざまな形に生まれ変わっているヘンプ製品に出会いました。

ヘンプについて、いろいろ調べ学んでいくうちに、自分でも不思議なくらいヘンプに魅了され、虜になっていきました。そして、なぜか「ヘンプ製品を国産で作りたい!」そんな想いが日に日に強くなっていきます。ヘンプは、古来よりわが国日本に自生していた伝統的な植物。そんな古来活用していたものを、今再び見直し、日本人の生活の中に手軽に取り入れてもらいたい、そして、ヘンプからできた製品を通じて、日本の伝統や文化を今一度、再認識してほしい、そんな思いで、株式会社CHANVRE(シャンブル)を設立しました。

もし、ヘンプとの出会いがなければ、私は今こうして、生き生きと充実した毎日を送っていることはなかったでしょう。

シャンブルコスメの開発秘話

「ヘンプにはとてつもなく偉大なパワーが秘められている!そんなヘンプの力を1人でも多くの人に知ってもらいたい!」。身をもってそう実感していた私は、ヘンプが身近なものとして、人々の生活の中に気軽に取り入れてもらうためには、どうしたら良いのか?と考えるようになりました。もともと美容の仕事が好きだったので、何とか美容(ビューティー)といった分野から、キレイな形でヘンプを発信できないか、と思うようになり、美を生み出すヘンプオイルを活用したヘンプコスメを国産で開発したい、という夢を抱くようになります。しかし当時、ヘンプオイルは、化粧品に配合して良い成分として日本では認めておらず、化粧品の原料とてして使用することができませんでしたので、申請をして「アサ種子油」という名称で認可して頂きました。そして、2005年頃よりヘンプコスメの開発がスタートします。

ヘンプオイルは、他の植物油よりも「安定性が悪い、酸化が早い」というデメリットがたくさんあり、製品の完全性や安定性を求められるコスメの開発は、本当に難しく一筋縄ではいきませんでした。試作を何度となく繰り返しても、なかなか納得のいく製品がつくれず、諦めかけたことも何度かありました。しかし、どうしても「美とヘンプを融合させたヘンプコスメ」を作りたかった私は、さらに長年にわたってヘンプコスメの開発を諦めずに着手した結果、日本発の「ヘンプ・コスメシリーズ」が誕生したのです。

シャンブルのヘンプコスメには、「ヘンプの力でキレイになって欲しい」といった願いはもちろん、「ヘンプの素晴らしいパワーと偉大さを体感して欲しい」、「ヘンプコスメを通じて、ヘンプを見直すきっかけになって欲しい」、そんな想いや願いが込められています。

日本の文化とヘンプ(麻)

古来より日本人に愛され生活と文化を築いてきた伝統的な植物ヘンプ(麻)。約1万年前に日本に渡ってきてから、衣食住を支えてきた麻は、私たち日本人の生活の中で利用されていました。現在でも麻を身近に感じることができます。

例えば、日本人にとって馴染みのある「麻の葉模様」。この麻の葉模様とは、「麻の葉(大麻の葉)」をモチーフにした正六角形の幾何学模様が連なっているもので、産着や着物、家紋、神紋、のれんや座布団、民芸品など、さまざまなものに使用されています。日本人なら、一度は目にしたことがある馴染み深い模様ですね。

太陽の光をいっぱい浴びて、大空に向かってまっすぐに力強くすくすくと育つ麻。この麻にあやかり、今でも産着には、麻の葉模様が使われています。この麻の葉柄には、もう一つ「魔よけ」という意味もあります。また、子供の名前に「麻美」や「麻衣子」「麻由美」など、麻の文字を使うのも「麻のように丈夫にすくすくと育ってほしい」という願いが込められているためです。産着のほかにも、赤ちゃんのへその緒を縛る紐や産婦の髪をしばるのにも麻紐が用いられていたようです。

紀元前の頃から日本の人々に愛されてきた麻は、その利便性と歴史の古さから、特に神社とつながりが深く、とても神聖なものとして扱われていました。日本人にとって麻は、「人と神をつなぐ聖なる植物」として、日本各地で稲作よりはるか以前に栽培されていました。

現在でも、神社のしめ縄や横綱の化粧回し、お盆やお払いの儀式で使用されているように、麻は大昔から「悪いものを追い払う力がある(邪気を払う)」とされ、神道には今も欠かせない植物でもあります。  

~大麻比古神社~
徳島県(鳴門市大麻町)には、「大麻比古神社」という神社があり、この神社の神紋は麻の葉紋です。ここでは、麻の神様である大麻比古大神を祭神として、猿田彦神が祀られています。天富命という神様が阿波の国であった徳島県にやってきて、麻や楮の種を蒔いて、殖産興業の基礎を作ったことが由緒だとされています。

世界のヘンプ製品とカナダの農場

「スーパーフード」と呼ばれ、美容と健康をサポートする食品としても注目されているヘンプ。ヘンプは、「衣・食・住」をまかなえ、その他、化粧品、医薬品、バイオマスエネルギーやプラスチックにもなることから、石油と森林に携わる可能性を秘めた農作物として、今、世界でも注目をされています。

海外では、健康&美容食品としても認められている安全性の高いヘルシー&ビューティー食品でもあり、ヘンプ産業の発達しているカナダ・アメリカ・ヨーロッパ諸国などでは、食品・化粧品・医薬品として日常的に使用されており、スーパーやナチュラルショップ、ドラッグストアなどで販売されています。近年、日本でも古くて新しい素材としてヘンプが広まりつつあります。

~カナダの麻畑~
シャンブルのヘンプオイルやコスメに使用しているヘンプシードオイルは、カナダ産。カナダのバンクーバーとトロントのちょうど真ん中くらいのところに農場(工場)があります。カナダの豊かな自然あふれる広大な土地で、太陽の光をたっぷり浴びて力強く育っています。

生命力が強く、農薬や化学肥料は必要としないヘンプは、やせた土地でもすくすく育ち土壌を豊かにするため、有機栽培に適しています。いつの日か日本でも、昔のように国内のあちらこちらで麻畑を目にする日がくることを願っています。

現在は、海外で育ったヘンプを輸入するしかありませんが、国内にこのようなわが社の契約農場をつくることが、シャンブルの今後の課題であり目標でもあります

今までもこれからもヘンプと共に

ヘンプに出会って20年。ヘンプと二人三脚のように、さまざまな事を学び、一歩ずつ一緒に歩んできました。私にとって「ヘンプ」は、人生のパートナーであり、「私の人生そのもの」といっても過言ではありません。

ヘンプは世界中で愛され、コスメとしてだけではなく、衣料品、食料、燃料、建材、漢方薬、医薬品などさまざまな分野で活かされており、日本人にも愛用されてきた「伝統的な薬草(ハーブ)」です。しかし、まだ日本ではヘンプについて、さまざまな誤解と偏見があります。現在は、海外で育ったヘンプを輸入するしかありませんが、一度は疎遠になってしまったヘンプが、いつの日かまた日本国内で栽培できるようになり、原料のヘンプから製品まで、「すべて国産のヘンプ製品」を作り、日本の文化とともに、海外に発信していきたいと思っています。

近年、世界では医薬品としてのヘンプの研究などが進んでおり、今後、メディカルハーブとして、医療分野での活躍が期待されています。また、美容と健康をサポートしてくれるヘンプは、スーパーフードとしても注目されており、特に私たちシャンブルが提唱する「ヘンプオイル」を身体の内側(飲む)、外側(スキンケア)から活用する美容法、「内外オイル美容」を実践する女性たちが年々増えています。このようなヘンプのさまざまな活躍ぶりを見ると、ヘンプという植物は、今までもこれからも、人間とともに生きる植物なのではないか、とさえ思えてなりません。ヘンプは未来でもきっと愛され続けていくハーブでしょう。

今後も良質なヘンプ製品を研究・開発するとともに、セミナーやイベントなどを通じて、ヘンプの素晴らしさをキレイ&スタイリッシュに広めていきたいと思います。未知なる可能性と、偉大なパワーを秘めたヘンプという植物が、一日も早く人々に見直される日がくることを願って、今後もヘンプと共に人生を歩んでいきたいと想います。